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ミーティング
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Guest:ジャパンサイクルリーグ チェアマン/元F1レーサー 片山右京氏

挑戦から生まれるイノベーション【前編】

スポーツを楽しむ環境をアップデートしていくことで、よりよい社会づくりを目指すCHEERPHONE(チアホン)のメンバーが、スポーツ業界を中心にさまざまなイノベーターやリーダーの方々とのインタビューや共創型セッションを通じて新しいアイデアやこの先の未来について語り合う「CHEERTALK」。

 

第2弾は、ジャパンサイクルリーグ(以下、JCL)の片山右京チェアマンに「挑戦」や「イノベーション」をテーマにお話を伺った。

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左から パナソニックホールディングス株式会社  木村文香、片山右京チェアマン、パナソニックホールディングス株式会社 持田登尚雄

日本人が「ツール・ド・フランス」で優勝する日を夢見て

 

木村右京さん、本日はよろしくお願いします。
本日は「挑戦から生まれるイノベーション」をテーマにお話を伺いたいと思います。
トークに先立って、簡単にJCLさんの会社概要を伺っても良いでしょうか?

 

片山JCLは2020年に立ち上げた組織です。他の競技はオリンピックや世界的な大会で活躍などが目立つようになりましたが、残念ながら日本の自転車ロードレースは世界とまだ差があります。JCL設立の一番の目的は国内選手の競技力の向上にあります。競技力を向上し、その中から代表チームを構成し、現時点では夢のような話ですけど、世界選手権やツール・ド・フランスでの優勝を目指したいと考えています。
ただ、競技力向上以外にもやらなくてはいけないことがあります。

 

木村それはどのようなことですか?

片山ひとつは自転車競技の普及の観点です。欧州などでは世界三大スポーツは、「サッカー」、「F1」、「自転車」だったり、世界三大スポーツイベントと言えば、「サッカーW杯」、「オリンピック」、「ツール・ド・フランス」と言われるほど、自転車競技が文化として定着しています。自転車競技は日本では残念ながら競技としての認知は低いのが現状です。自転車競技を応援してもらうためには、もっと自転車文化を創造していかなくてはいけません。その文化普及に貢献したいというのもJCLが生まれた理由でもあります。実はSDGsの文脈でも、世界的にも自転車競技は注目されているんです。

木村そうだったんですね。私も「ツール・ド・フランス」という言葉にはなじみがありましたけど、あまり自転車競技に触れる機会はありませんでした。

片山もう一つはスポーツの産業化という視点です。これまでは経産省の補助金を頼りに競技者や関係者はこれまで大会運営をしてきました。ただ、これではなかなか成長が難しい。他のスポーツと同じようにメジャー化するためには、産業化し、プロ化し、有償化していき、そこに関わる人が育ったり、生活できる環境を作らなくてはなりません。これは他のスポーツでも同じです。その競技に関わる人や競技者自身が競技をやめたとしても、生活できる環境や基盤があるのかというのは非常に大切です。若い競技者が競技を離れたときに、それまでの努力した時間が無駄にならないような環境を作らなくてはならないと思っています。
サッカーではJリーグというプロ化組織できてから、多くの競技者や関係者がそこで生活が出来るようになりました。JCLもこのような環境づくりもやっていかなければいけないと思っています。

 

木村:なるほど、それでプロリーグを設立されたんですね。JCLさんの役割や活動の目的が良く理解できました。

片山:もう少しだけ補足すると、多くのスポーツはスタジアムやアリーナなど競技場が必要になりますが、自転車ロードレースの場合は公道を止めて競技を行うので、競技場がありません。その代わり、街をスタジアムにするという発想で全国の自治体さんと一緒に街にお祭りを作っていくことで地域活性などにも貢献できると思っています。


 

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想像するチカラ、信じるチカラ、言葉にするチカラ

木村:日本で新しい自転車競技文化を作っていく上で、何か特長的な取り組みをされるのでしょうか?

片山:JCLとしても協力を行っているジャパンカップなどでは敢えて宇都宮の駅前で開催したり、世界的な選手を連れてきてレースを開催したりなど、まずは人の目に触れる機会を増やしていくことを主催者は心がけています。
屋外型なので人の目に触れる機会を作りながら、できるだけショウーアップするなどして、関心を引くようにもしています。
あと、日本には伝統的なお祭りなども地域ごとにありますよね。街をスタジアム化していくときに、例えば、お祭りを自転車でやるとか地域との連携をすることも大事だと思っています。高知大会でのよさこいや東京都とのサイクルツーリズムイベントなどもその一環です。
今後も、地域連携に加えて音楽フェスやキャンプなどの他の産業とのインタラクションも取りながら自由な発想で街のスタジアム化に調整していきたいと思っています。
ただ、ますます環境問題が厳しくなるなかで、自転車は最も地球にやさしいモビリティとして、SDGsや環境への配慮が必要だと思っています。エコロジーやサステイナブルという視点での訴求も含めて日本にもっと自転車競技の文化を作って行くことが私たちの使命だと思っています。

 

木村:確かに、これ以上地球にやさしいモビリティはないですね。地域との連携なども素晴らしい取り組みですね。

片山:まだまだJCLが始動して2年目ですけど、Jリーグやプロ野球などがそうであるように、選手が街を歩いていたらファンの方に応援の言葉を投げかけてもらえる。そんな環境を作っていきたいですね。

木村:JCLさんは、スポーツという枠を超えて、さまざまなアイデアを組み合わせたり、新しいチャレンジをすることにとても柔軟な印象です。

 

片山:言ったことややりたいことをできるだけすぐに形にするようにしています。説明して想像してもらうよりも、実際に想いを持った人のアイデアを形にして、見たり体験してもらう方が早いですよね。そこから新しい気づきも得られますし。

木村:右京さんの描く世界の実現に向けて、JCLという組織のみなさんがさまざまなアイデアを出し合って、有言実行されているとてもパワーのある組織ですよね。

片山:ありがとうございます。メジャーリーグや欧州サッカーリーグで日本人がここまで活躍する姿は誰も想像して無かったと思いますが、私は日本人がツール・ド・フランスで優勝する日が普通に来るから、その未来に向かって挑戦しようと言っています。
新しい未来を阻害するのは、その未来を想像しなかったり、言葉にしなかったり、信じなかったりするからなんです。想像するチカラ、信じるチカラ、言葉にするチカラを大人が忘れてしまっていたり、お金がないから、時間がないからなどいろいろな理由をつけて挑戦から逃げてしまっていることが多いんですよね。
僕たちは未来を信じて、じゃあ、それがどうやったら実現できるのかアイデアを出しながら新しいアプローチでさまざまな挑戦を続けています。
競技の強化だけでなく、街をイベントで盛り上げたり、多くの人がサイクリングを楽しんで、おいしいもの食べて、きれいな景色をみて、健康になる。そんな社会を描いています。


 

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JCLの挑戦とそのモチベーション

木村:改めてお話を伺うと明確なビジョンがあって、そのビジョンに組織として向かっているのが分かりました。まさに挑戦する組織ですね。今後さらに挑戦してみたいことはありますか?

 

片山:そうなんです。すべてがチャレンジなんですよね。笑
このJCLというリーグが立ち上がったこともそうですし、ここまでの道のりすべてといってもいいぐらい全てが挑戦です。
この先もまだまだ挑戦は続けたいと思っています。
例えば、他の競技が続けられなくなったアスリートの受入なども進めていきたい。
ケガや環境の影響で競技をあきらめなくてはならないアスリートも少なくないが、そういったアスリートが転向しやすい環境をつくってみたいと思っています。

 

木村:前半の最後の質問になりますが、挑戦することは簡単ではないと思いますが、挑戦することへのモチベーションはどこから生まれてくるのでしょうか?

 

片山:基本的には人間が好きというところだと思います。
社会を作っているのは人間であり、未来を作っているのは若い人たちや子供たちですよね。
私にも子供の頃があって、夢がありました。それを見てくれる人が居て、チャンスをくれる人が居て、怒ってくれる人もいました。チャンスを与えられたり、怒られてくやしいから努力して向上する。
でも、そうやって努力をすることで未来が変わったり、成功したり、失敗したとしても努力した分の成長はする。
これまでも子供たちや仕事でも多くの人にどんどんと挑戦して、どんどん失敗するように伝えてきました。そうやって成長していく人たちを見て行くのが楽しいですし、成長した人たちが今度は自分を助けてくれたりする。それが私のモチベーションになっています。

   

木村:右京さんの熱い想いがあるから、JCLのみなさんが挑戦し続けられるんですね。
とても良いお話を伺うことが出来ました。
引き続き、後編ではCHEERPHONEとの出会いや音声配信での挑戦についてお話を伺います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【会社概要】

一般社団法人ジャパンサイクルリーグ
JCLは、2020年に設立されたUCI国際自転車競技連合に加盟している日本籍コンチネンタルチームおよび地域密着型ロードレースチームで構成されている日本プロロードレースリーグです。
URL:
https://jcleague.jp/

JCL TEAM UKYO:
https://jcl-team-ukyo.jp/
日本初プロジャパンサイクルリーグ「JCL」のトップ選手が集結したチーム

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