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ミーティング
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Guest:アイナックフットボールクラブ株式会社 代表取締役社長 安本卓史氏

イノベーションに挑戦するためのマインドセット【前編】

スポーツを楽しむ環境をアップデートしていくことで、よりよい社会づくりを目指すCHEERPHONE(チアホン)のメンバーが、スポーツ業界を中心にさまざまなイノベーターやリーダーの方々とのインタビューや共創型セッションを通じて新しいアイデアやこの先の未来について語り合う「CHEERTALK」の第3弾は、WEリーグ初代チャンピオンINAC神戸レオネッサの運営会社、アイナックフットボールクラブ株式会社 代表取締役社長 安本卓史さんに「挑戦」や「イノベーション」をテーマにお話を伺った。

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©INAC KOBE LEONESSA​​

左から パナソニックホールディングス株式会社 持田登尚雄、アイナックフットボールクラブ株式会社 代表取締役社長 安本卓史氏、パナソニックホールディングス株式会社 木村文香

完成された世界よりも、チャレンジができる環境で勝負したい

木村安本さん、本日はよろしくお願いします。
本日は「イノベーションに挑戦するためのマインドセット」をテーマにお話を伺いたいと思います。
トークに先立って、簡単にアイナックフットボールクラブ株式会社(以下、INAC)の活動概要を伺っても良いでしょうか?

安本INACは、2001年に設立され、主に女子サッカークラブのINAC神戸レオネッサのチーム運営を行っています。2021年9月に日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕しましたが、皆様の支えのお陰で(2021-22 Yogibo WEリーグ)初代チャンピオンとなることができました。2年目となるシーズンも連覇に向けて、現在シーズンを戦っています。

木村ありがとうございます。安本さんは野球少年だったと伺っていますが、なぜサッカーに携わることになったのでしょうか?

安本2012年ごろにさかのぼりますが、楽天で仕事をしていた時に、三木谷浩史さん(楽天株式会社 代表取締役会長兼社長)からヴィッセル神戸に行ってくれないかと言われたのがきっかけでした。当時三木谷さんにも「なぜ私がサッカーなんですか?」と投げ掛けましたが、サッカーをしていた人やサッカーが好きな人だと、クラブに関わることがゴールになってしまうことがあるということでした。野球の文化や経験も持ち込んでもらいたいということでヴィッセル神戸の運営に関わることになりました。

木村なるほど。確かに三木谷さんの言われることも理解できますね。
サッカーに関わるようになってみていかがでしたか?

安本実際に、サッカーに関わってみると、とても面白いということに気が付きました。それは、より世界へと通じているという点です。野球だとどうしても競技をしている国や地域も限られますが、サッカーはより多くの国で普及しており、世界的なスポーツであるということでした。また、試合時間も90分間に限られていたり、試合数も少なかったりするので、1点や1試合の意味や重みも大きいというのもよりサッカーへの興味を掻き立てました。

木村:サッカーの魅力に目覚めたんですね。どのような経緯でINACの経営に関わることになったのでしょうか?

 

 

安本:2017年に一度ヴィッセル神戸を離れ、楽天に戻り、別の部門に行くのですが、まだサッカーでやり残したことがあるなと思っていたところに、INACからの誘いがあり、INACの社長に就任させていただくことになりました。

木村:やり残したこととは何だったのでしょうか?

安本:ヴィッセル神戸に関わっているときにイングランドやスペインやドイツなどを視察した時にサッカーが日本の高校野球の様に国技であったり、地域の文化として根付いているのを目の当たりにしました。日本がどうやったら追いつけるのかなというぐらいの文化の差をそこで感じたんですよ。日本に欧州の様なサッカー文化を根付かせたいという想いを持ち続けていました。

木村:男子のサッカーではなく女子サッカーを選ばれたのも何か理由があるのでしょうか?

安本:国内の女子サッカーは当時プロ化もされていませんでしたし、まだまだやるべきことが多く残されていて、私がより多くのことに関われるのではないかと思った点と、女子サッカーは過去にもワールドカップで優勝(2011年ドイツワールドカップ)していることから女子サッカーの方が世界との距離感も近いということでINACからのオファーに応えることになりました。
あと、私には2人の娘がいて、その娘たちが憧れたり、めざせる場所にしたいという思いもありました。

 

木村:ある程度完成された世界よりも、よりチャレンジの出来る環境を選ばれたのですね。

安本:そうですね。ひねくれているので(笑)。すでにルールややり方が決まっていて、これをこうすれば良いとやり方が分かっているのであれば私じゃなくても良いでしょうと思ってしまうんですよね。楽天に居る時もそうでしたが、新しい仕組みやルールを作っていく方が好きですね。

木村:安本さんらしいですね。

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©INAC KOBE LEONESSA​​

経営力と意識改革で大きな目標を達成する

木村:さて、話は変わりますが2021年9月に国内初の女子サッカープロリーグ「WEリーグ」が発足したのですが、その過程での苦労やチャレンジなどを伺っても良いでしょうか?

安本:大きくは2つです。
一つは、経営を支えるためのより多く方とのスポンサーシップの獲得です。お陰様でINACはそれまでもプロ化に近い形でチーム運営を行っていましたが、プロリーグのスタートに伴ってより大きな資金力が必要となりました。
もう一つは、選手のプロ意識の改革です。これまではアマチュアスポーツとして、頑張っているね、で済んでいたかもしれないですが、スポンサー様からのより大きな支援に加え、お客様から入場料も頂き、それらの期待に応えるプレーや結果を出さなければいけない。この2点に特に力を入れました。

 

木村:プロ化にともなって、経営力とプロ意識が求められたわけですね。

安本:WEリーグでのプロ化に伴って、特に選手はこれまでと違って職業がサッカー選手になるわけですから、プロ意識を持ち、どうやったらお客様を会場に呼べるのか?どうやったらより競技する環境をよくできるのか?を考えるきっかけになったと思います。

木村:INACとしては今シーズン来場者1万人などの目標があると伺いましたが、安本さん自身の目標やゴール伺っても良いでしょうか?

安本:そうですね。もともとヴィッセル神戸に居たこともありますが、同じノエビアスタジアム神戸(以下、ノエスタ)を使っているので、ヴィッセル神戸と同じぐらいの来場者数を達成するというのが目標です。この日が来ないと私が楽天やヴィッセル神戸を離れたことに対して成功だと思えることは無いと思っています。その過程としてまずは1万人を目標に置いています。

木村:国立競技場をホームとして実施された試合では1万人を超える来場者を達成されましたね。

安本:だからこそクラブとしてのポテンシャルは間違いなくあると思っています。国立だからではなく、それをこのノエスタで達成したいんですよね。関西にはサッカーもそれ以外のスポーツチームもあるので、そういったチームとも連携しながら、一番好きなチームではなくても、2番目に好きなチームとしてINACが選んでもらえるように少しずつファンを増やしていきたい。

木村:そうやって来られたお客様が「INAC-WAVE」※1を聞いて、INACを好きになってくれると良いですね。

※1:「INAC-WAVE」はINAC神戸レオネッサがホームゲーム時に実施している場内ラジオ

安本:そうですね。聞いてくれている人の満足度は非常に高いので、「INAC-WAVE」を聞いてもらう取り組みにも力を入れて、もっと多くの方に聞いていただけるようにしたいと思います。今日も選手の好きな音楽を紹介するなどの新しい取り組みをしましたが、もっとコンテンツを工夫したり、スタジアムでの視聴方法のあり方を模索したり、いろいろと普及のための手を打っていこうと思います。

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©INAC KOBE LEONESSA​​

新たな挑戦へのマインドセットとは

木村:INACさんはCHEERPHONEをつかった音声配信もそうですが、さまざまな新しい取り組みを積極的にされていますが、何か注目されているテクノロジーなどはありますか?

安本:そうですね。私はサッカー以外の競技や業界を参考にすることが多いんですね。
野球もそうですし、音楽業界などもそうですね。コンサートやライブなどでは割と当たり前になっていますが、ペンライトやうちわなどのグッズと会場の光の演出は面白いですよね。
エリアごとに光の色が変わったり、アーティストのアクションや曲に合わせて自分が持っているアイテムも色が変わっていくのはスタジアム全体もお客さん一人一人も一体感を感じられますよね。サッカーでも昨年あたりから選手入場の際のペンライトの利用は始まり出していますが、まだ十分な演出までしているチームはないですよね。このノエスタでも会場全体を赤くしたりしたいんですよね。是非、パナソニックで開発してください(笑)。

木村:わかりました。開発リストにいれておきます(笑)。

安本:サッカー以外の業界の方が先進的な取り組みをしているので、それをどのようにサッカーやINACに還元するのか、どうやったらお客さまがより楽しんでいただけるのかを考えています。

木村:いつもさまざまな領域にアンテナを張って、アイデアを考えていらっしゃるんですね。

安本:さすがに私もアイデアが枯渇してきているので、クラブスタッフにも、お客様により満足いただけるために何ができるのかを考えてほしいと言っています。私のアイデアは私が知っている世界からしか生まれません。若い人たちにも会場に来てもらうためには、もっと若い社員たちのアイデアも必要なんですよね。
どうしても目の前の業務で頭がいっぱいになりますが、それだけでは成長はしませんから、
いろいろな人がアイデアを出し合えるより良いクラブにしたいと思います。

 

木村:社員の方からも実際にアイデアの提案はあるんでしょうか?

安本:そうですね。それなりにありますよ。昨シーズンの国立競技場でのホームゲーム開催の時もいろいろなアイデアの提案がありました。

木村:社員の方のモチベーションも高いのですね。良い組織ですね。
その空気を作っているのが安本さんだと思いますが、安本さん自身の新しい事に挑戦するマインドセットはどのあたりにあるのでしょうか?

 

安本:人が喜んでいるのが好きなんですよね。そこが一番大きいですかね。
でも、人を喜ばせるためには自分も面白いと思えることや、楽しむことも大事だと思っています。今日も会場で乗馬のイベントをやっていたんですけど、私がまず乗ってみたかったんですよね(笑)。お客様にも乗ってみたい、来てみたいと思ってもらえるように、私が楽しんで乗馬している様子をSNSに投稿していたりもします。20人ぐらいしか来ないかと思っていましたが、300人以上の方が体験されたようで、多くの方に喜んでいただけて嬉しいですね。
やっぱり、やるからには100%以上の全力でやっていかないと結果はでませんし、やり続けることで共感が少しずつ生まれてくるんだと思います。
お陰様でメディアに取り上げてもらえることも多くなりましたし、今シーズンからは音声配信も始めましたし、これからも面白い企画やSNSなどの活用などで、来場者やファンの方を喜ばせたいと思っています。

木村:ありがとうございます。安本さんのマインドセットが良く理解できました。人の笑顔を作るための仕事って素敵ですよね。
さて、後半は今シーズンからシーズンを通して実施をいただいいる「INAC-WAVE」の取り組みについて伺いたいと思います。

 

そうですね。聞いてくれている人の満足度は非常に高いので、「INAC-WAVE」を聞いてもらう取り組みにも力を入れて、もっと多くの方に聞いていただけるようにしたいと思います。今日も選手の好きな音楽を紹介するなどの新しい取り組みをしましたが、もっとコンテンツを工夫したり、スタジアムでの視聴方法のあり方を模索したり、いろいろと普及のための手を打っていこうと思います。

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©INAC KOBE LEONESSA​​

【会社概要】

アイナックフットボールクラブ株式会社


地元神戸市及び兵庫県におけるスポーツコミュニティーの担い手を育成し、さらには国際的な活動も展開していく総合スポーツクラブとして、2001年4月に設立。
女子プロサッカーチーム「INAC神戸レオネッサ」のチーム運営に関わる営業・企画から、“神戸から世界へ”をコンセプトに世界で活躍する選手の輩出、また女子サッカーのさらなる飛躍を目指し日々取り組んでいます。

URL:https://inac-kobe.com/

CHEERPHONEについての問い合わせ先 - contact@btc-innovation.com

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CHEERPHONE Twitter - https://twitter.com/cheerphone1

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